峰岸からの返事
峰岸です。結論だけ先に。
辞められます。そして、急いでください。お話のとおりなら、あなたの契約はまだクーリング・オフの期間内です。今日、書面を出しましょう。手順から書きます。
まず今日やること。この型のクーリング・オフは20日間です
「友達を紹介すれば紹介料が入る」仕組みの契約は、特定商取引法の「連鎖販売取引」にあたる可能性が高い。で、この類型のクーリング・オフ期間は、訪問販売の8日間より長い20日間と定められています(消費者庁の解説)。いいですか、ここテストに出ますよ。「この型は8日じゃなく、20日」。やることは3つです。
- はがきに「契約を解除します」と、契約日・商品名・契約金額・自分の氏名住所を書き、会社宛てに特定記録か簡易書留で送る。投函前に、必ず両面をコピーかスマホ撮影で残す。
- 信販会社にも同じ内容の通知を送り、電話でも「クーリング・オフした」と伝える。分割払いを止めるためです。
- 書き方に迷ったら、その足で消費者ホットライン(188)へ。お住まいの消費生活センターにつながって、文面まで一緒に見てくれます。
仮に期間を過ぎていても、諦めないでください。連鎖販売取引には、入会から1年以内、商品の引渡しから90日以内の未使用品などの条件を満たせば中途解約・返品ができる定めもあります。いずれにせよ、動くのは早いほど有利です。
ご自分を責めるのは、もうやめてください。あの夜は「違法と認定された型」です
ここからは、ご自分を責めないでいただくために書きます。
「ボウリングしませんか」「社会人サークルです」と目的を隠して呼び出す。人目につかない場所へ連れて行く。断った相手に深夜まで3時間を超えて勧誘を続ける。——これね、私の言葉じゃないんです。2025年3月、中部経済産業局が株式会社SEEDという名古屋の会社に対し、まさにこのやり口を特定商取引法違反と認定して、連鎖販売取引の勧誘・申込受付・契約締結を18か月間停止する行政処分を出しました(消費者庁の公表資料)。代表者個人にも業務禁止命令が出ています。さらに遡れば、2022年にも別の会社(株式会社ARK)が同じ局から業務停止命令を受けています(同じく公表資料)。
あなたが経験した夜は、当局が違法と認定したのと同じ型の勧誘です。あの夜の段取りは、組織が台本で設計してやってくるものです。素人が一人で、しかも深夜に、勝てなくて当然なんです。
「STONES」について。確認できたこと、できないこと
書類にあった株式会社STONESは、国税庁の法人番号公表サイトで実在が確認できます。名古屋市中区の法人で、法人番号の指定は2024年7月。設立から日の浅い会社です。
ネット上には、先ほどの処分を受けた会社と同じグループじゃないかと指摘する声もあります。ただ、登記上は別の法人で、同一だと確認できる公的記録はありません。ですから私は、この会社を「処分逃れだ」とも「詐欺だ」とも断定しません。
ただね。どの会社の名前が書類にあろうと、あなたが受けた勧誘のやり方そのものが特商法の禁じる型だったこと。クーリング・オフがあなたの権利であること。この2つは、いずれも動きません。
売る側の理屈で読むと、こうなる
なぜボウリングと嘘をつくのか。投資の勧誘だと言えば誰も来ないことを、向こうが一番よく知っているからです。
なぜ深夜までやるのか。疲れた人間は契約書の中身じゃなく、「帰れること」と引き換えにサインすると知っているからです。
なぜ友人を使うのか。広告費がかからず、一番断られにくい販売網だからです。
私のいた業界でも「ご紹介」は最上の見込み客とされていました。ただ、目的を隠した呼び出しまではやりません。やれば処分されるからです。現に、されています。
で、ご友人のこと。おそらく以前、同じ部屋で同じ夜を過ごした側です。敵だと決めつける必要はありませんが、「制度を使って解約した」とだけ伝えて、勧誘の話からは距離を置いてください。国民生活センターが注意喚起する「モノなしマルチ商法」は、お金だけじゃなく、友達を失うところまでが被害ですから。
※「ご紹介ください」と頭を下げるのが営業の基本だと教わってきた人間ですが、嘘の呼び出しだけは、現役時代に横で見ていても胸が悪かった。あれは営業じゃありません。
親御さんに言えない、とのこと。クーリング・オフを出してからで構いません。「騙された」という告白じゃなく、「変な勧誘に遭ったけど、制度を使って解約した」という事後報告なら、ずっと話しやすいはずです。そのためにも、今日、はがきを。返事は以上です。報告、お待ちしています。
峰岸 修