峰岸からの返事
お便り拝見しました。峰岸です。
結論から言いますよ。お母様を止める材料、あります。それも私の感想じゃなくて、当局の公表という公的な形で。順に行きます。
まず事実から。この私募債、もう当局の警告が出ています
2026年5月15日、関東財務局が警告を公表しています。この会社が発行する少人数私募債(「ミュゼマーケティングファンドシリーズ」と称するもの)の募集の取扱いを、金融商品取引業の登録なくやっていた業者への警告です。これは金融庁の「無登録業者の名称等の一覧」にも収録されています。噂じゃありません。公的記録です。
で、金融庁はファンド形態での販売・勧誘について、無登録業者からの勧誘は詐欺的な商法であるおそれが高いので一切関わらないように、とまで明言しています。
断っておきますが、私はこの会社を「詐欺だ」と断定しません。断定できる公的証拠を持っていませんし、その必要もないんです。「登録のない業者が売っていた商品」という確定した事実だけで、降りる理由としては十分すぎる。そういう話です。
「年利18%・元本保証」。……これね、看板の時点で成立しないんですよ
報道では、この私募債は「年率18%・元本保証」という説明で30億円を超える資金を集め、その後利払いが止まっていると報じられています。金額や文言は報道ベースで、私が独自に確認できたものではありません。ただ、お母様が受けた説明と一致しますね。
で、仮にこの看板どおりだとしましょう。それ自体が重大な危険信号です。元本保証をうたって不特定多数からお金を集めるのは出資法が禁じる行為でしてね。預金金利が1%にも満たない時代の「年18%・元本保証」は、約束として成立しない水準です。
もうひとつ。「ファンド」なんて洒落た名前が付いていますが、少人数私募債の実態は発行会社への貸付。つまり、ただの借金の証書です。公募の社債と違って開示規制もかからない。発行体が返せなくなれば、そのまま戻りません。
「ミュゼ」の名前についても、言いにくいことを言っておきます
ファンド名の由来になっている脱毛サロンの運営会社、2025年8月に破産手続きが始まっています。負債は会社申告ベースで約260億円。債権者は約123万人と公表されています。
そして破産の数か月前に、ミュゼの商標権・営業権がこのファンド側へ移転していた。これは当事者自身がプレスリリースで公表している話です。この移転をめぐっては批判と反論の両方があって、評価は係争中。私が裁く立場にはありません。
ただね。出資の判断という意味では、評価を待つ必要はないんです。「百万人を超える債権者を残して運営会社が破産した事業」の広告ファンド。この確定した事実だけで足ります。
売る側の理屈で読むと、こうなる
説明会、お弁当、理念の映像、役員の挨拶。私が営業現場にいた頃、ああいう会場を内輪で何と呼んでいたか。「畑」です。ひどい言い草でしょう。でも、本当の話です。商品の数字で勝負できないとき、売る側は理念と人柄で信用の穴を埋めるんです。
……で、ここからが本題。「利払いが遅れているのに、次の募集枠を特別に案内する」。台本として読めば、これは自然な流れなんですよ。高い利息の支払いは新しく入るお金が頼りですから、募集を止めるわけにはいかない。「買い増せば取り戻せる」は、お母様のための提案じゃなく、向こうの資金繰りのための提案だと私は読みます。
※お弁当の出る説明会、私も現役時代に運営側で何度も立っていました。あのお弁当、ちゃんと元が取れる設計になっているから出るんです。本当にすみません。
で、いま何をやるか
- 追加の購入を止める。これが最優先です。「警告が本当に出ているのか、一緒に確かめたい」という入り方なら、お母様と敵対せずに済みます。金融庁の無登録業者一覧は誰でも見られますから。
- 契約書面・パンフレット・振込記録・利息の入金記録を保全する。捨てさせないでください。
- 消費生活センター(188)と、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)へ。「無登録販売の警告が出ている私募債」と伝えれば話が早いはずです。
- 返金の交渉や法的な手続きは弁護士へ。私募債は一度払うと取り戻すのが非常に難しい商品です。動くなら早いほどいい。
最後に。お母様を責めないであげてください。お母様は理念に出資したんじゃない。週に一度、丁寧に名前を呼んで扱ってくれる場所に通っていたんだと思います。売る側はその寂しさの値段をよく知っていて——私も昔、知っている側にいました。この件が片付いたら、その場所の代わりを少しだけ、意識して差し上げてください。
返事は以上です。
峰岸 修