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投資・副業の勧誘について、元・売る側が返事を書く往復書簡です。回答:峰岸 修(元・金融商品営業 25年)

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相談No.38

スマホ広告の「ポイ活で月10万」に登録したら、有料プランの案内が進んでいきます——「100万ポイ活 投資の秘密」の件

受付 5月19日回答 2026年5月30日(6/5 追記)相談者:20代男性・会社員

いただいた相談

峰岸さん、相談させてください。2週間ほど前、Instagramを見ていたら「主婦の私でも、おうちで月10万」「スマホ1台・元手ゼロ」という広告が流れてきました。「100万ポイ活 投資の秘密」という講座で、講師は今村ももこさんという方です。15分の無料動画で全部見せます、とあったので、軽い気持ちでメールアドレスを登録しました。

動画を見ると、具体的な手法の話はほとんどなく、「利益が確定しているもうけ話の選び方」は次の動画で、という形でLINEの登録に誘導されました。LINEに登録すると毎日メッセージが届き、先日から「本気で結果を出したい人向けのサポートプラン」の案内が始まりました。金額はまだ書かれていないのですが、「個別の説明会」の日程を選ぶよう言われています。ここまで無料なので損はしていないのですが、流れが妙に滑らかで、少し怖くなってきました。このまま進んで大丈夫なものでしょうか。まだお金は払っていません。

――20代男性・会社員

※相談内容は、いただいたお便りをもとに、個人が特定できない形へ再構成しています。

峰岸からの返事

峰岸です。「流れが妙に滑らか」。……いいですか、この違和感が今回のすべてです。よく気づいた。

結論から言いますよ。個別説明会には行かない。以上。……だと返事として手抜きなので、理由を順に書きます。先に正直に言っておくと、この講座を詐欺と断定できる公的な証拠は、私が調べた範囲では確認できません。ただね、判断材料が最後まで出てこない話に乗る理由もまた、ないんです。

で、結局「何で稼ぐのか」。最後まで書いてないんですよ

広告から動画まで通して見ても、「ポイ活」と「投資」という性質の違う言葉が混ざったまま、具体的に何をして月10万円になるのかが出てこない。「利益が確定しているもうけ話」なんて言い回しに至っては、投資の世界ではそれ自体が危険信号です。利益が確定している投資は、原理的に存在しません。「100万ポイント貯めた」という数字も、それを裏付ける記録は示されていません。

中身の説明がないのは、説明を忘れているからじゃありません。説明しないことが、この導線の設計だからです。

売る側の理屈で読むと、こうなる

無料動画はね、商品じゃないんです。選別装置です。

私が営業にいた頃、無料セミナーをやる目的はただひとつ。「最後まで席に座っていた人」のリストを作ることでした。広告を眺めただけの人と、メールを登録して、動画を最後まで見て、LINEに残った人。見込み客としての値段がまるで違うんですよ。営業の言葉で言えば、あなたはいま「温まっている客」のリストに載っています。

金額を最後まで出さないのも台本どおりでしてね。価格というのは、紙やLINEじゃなく、断りにくい個別の場で、それまでに積み上げた期待と一緒に提示する。これが売る側の定石です。「個別説明会」は、その提示の場だと読んでください。

※「続きは次の動画で全部話します」。当時の私のセミナー台本にも同じ行がありました。全部話した回は、一度もありません。本当にすみません。

この導線の先で何が起きがちか。公的な実例があります

国民生活センターは2024年9月、「スキマ時間に気軽に稼げる」などとうたうSNS広告から情報商材の購入へ誘導される副業トラブルの増加を注意喚起しています。消費者庁も2025年6月、「簡単な副業」とうたうSNS広告から勧誘し、高額なサポートプランを契約させていた別の事業者について、消費者安全法に基づく注意喚起を出しました。

念のため書きますが、これは本件とは別の会社の話です。ただ、「SNS広告→簡単に稼げる→高額プラン」という入口の形がそっくり同じ。ここは知っておく価値があります。

運営会社、公的資料で引いてみました

販売ページの特定商取引法の表示には、合同会社ナチュラプラスという社名と東京都新宿区の住所が載っています。ところが国税庁の法人番号公表サイトでこの社名を引くと、登記上の本店は神奈川県川崎市。表示の住所と一致しません(私が確認した時点の話です)。

さらに、消費者庁の特定商取引法ガイドが通信販売の広告に求めている責任者の氏名・販売価格・返品についての記載が見当たらない。連絡先は無料のメールアドレス。

どれかひとつなら、小さな会社にはよくあることです。で、三つ重なった。立ち止まる場面です。

やることは簡単です

  • 個別説明会の日程は選ばない。「価格と返品条件が書面で先に出ない契約はしない、と家計で決めている」とだけ返すか、黙ってブロックで構いません。
  • 仮にこの先で何か買う場合でも、ネット経由の購入には法律上のクーリング・オフがありません。返品できるかは業者の返品特約次第です。特約が書かれていない時点で、買わない。
  • 高額の提示や、支払い方法として借入・後払いを勧められたら、その場で消費者ホットライン(188)へ。

損をしてから届く相談が多いなかで、あなたは無料のうちに気づいて手紙をくれました。偉い。本当に偉い。渡してしまったのがメールアドレスとLINEだけで済むなら、授業料としては最安値の部類です。返事は以上です。

峰岸 修
追記(6/5)相談者の方から「説明会には行かず、ブロックして退会しました。最後に届いた案内は『残り2名』になっていました」とご報告をいただきました。「残り2名」ね。はいはい、出ました。残り枠が減っていくのも台本です。ご無事で何よりでした。

広告やLINEの文面によって、台本のどの工程にいるかは変わります。あなたの場合はどうか、という話は、LINEで聞かせてください。スクリーンショットを添えてもらえると、返事が具体的になります。全部には返せませんが、全部読んではいます。

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すべての相談に返信はできません。個別の投資助言もしません。実害が出ている場合は#9110か188を先に。